歯は鏡

あ、そうそう。
僕は独身です。

そして
３１歳にもなって
実家暮らしなんですけど
何か？

えーと。

だからね、
家には両親がいるわけ。

地元の歯科医院から
帰った時も
居間に母親が居たので
差し歯を見せてみました。

『今さ、○○歯科に行ってきたんだけど、
前歯を差し歯にしたんだよね。
コレなんだけど、どう思う？』

同調圧力になるのを
避けるために、
あえて自分の意見は言わずに
聞きました。

母親は僕の前歯を５秒くらい
凝視した後

「うーん。
ちょっと出っ歯っぽくなった？」

やっぱりだ。
  

後悔。怒り。諦め。嘆き。

その時僕はサイテーな顔をしていたと思う。

負の感情のごった煮偉人伝です。

本当にショック。

こんなに落ち込んだのは記憶にないよ。

理由は変な差し歯を入れられたから。



もう６年前かな。

父は脳梗塞で倒れて
身体と脳に障害を持っているんですね。

今は障碍者向けの作業所に通って
元気に過ごしているんだけど。

要するに社交辞令とかできない素直な人なんです。

で、父親に完成したばかりの
僕の差し歯を見せてみたら大爆笑。

いや、本当ですよ？
これは誇張抜きに大爆笑でした。

マジで父親は僕の差し歯を見て
お腹を押さえて顔を真っ赤にして笑っていました。

あんなに笑われると
怒りを通り過ごしてしまいますね。

『武器を手に入れた！』とか思っちゃう。

だって２時間後とか、
ほとぼりが冷めた時に父親に
僕の前歯を見せたんだけど、
再び大爆笑するんだもん。

僕の元に
笑いの神が降臨したようです。
　  

「芸能人は歯が命」とういうＣＭがありましたが
一般人も歯が命です。

というのも、その人がどのような歯をしているかで
人間の内面も透けて見えるからです。

もちろん「歯を見れば全てがわかる」
というような暴論を述べるつもりはありません。

しかし虫歯を放置する人には
何らかの傾向があるとは思いませんか？

私は歯科助手として数多くの人と接してきました。

歯科医院に来院する人は様々な理由を持っていますが
虫歯治療の人とより綺麗な歯を求めて来院される方は
性格が違うと思っています。